フォーム営業の教科書 第2部 準備する

第4章 営業リストを作る

アポツム編集部情報は2026年11月時点

営業リストは、フォーム営業の成果と信用の両方を左右します。狙いに合わない会社ばかりのリストでは、文面をどれだけ工夫しても返信は来ません。「営業お断り」の会社や、停止を頼まれた会社が混ざったリストでは、送るたびに相手に迷惑をかけ、自社の評判を落とします。

この章では、第3章で決めた狙う顧客像をもとに、送ってよい会社だけを、送る理由とともに並べたリストを作ります。列の設計、情報源と利用規約、フォームと「営業お断り」の表示の確認を説明します。続いて、法人番号での重複の除き方、NGリスト、優先順位、品質の保ち方を扱います。

4-1 営業リストの役割と、作る流れ

営業リストには、2つの役割があります。1つは、送る会社と、送る理由を並べることです。もう1つは、送らないと決めた会社と、その理由を記録することです。後者が抜けると、「営業お断り」の会社や停止を頼まれた会社に、気づかないまま送ってしまいます。

リストは、次の6つの手順で作ります。

図1営業リストを作る6つの手順
営業リストを作る6つの手順:列を決める、情報源から集める、フォームと表示を確かめる、重複を除く、NGリストと照らす、優先順位をつける
図の内容を文字で読む
  1. 列を決める何を記録するかを先にそろえる
  2. 情報源から集める規約を守り、出典と日付を残す
  3. フォームと表示を確かめる窓口と「営業お断り」の有無
  4. 重複を除く法人番号で同じ会社をまとめる
  5. NGリストと照らす送らない会社を外す
  6. 優先順位をつける点数の高い会社から送る

最初に列を決めるのは、人によって書き方がばらつくのを防ぐためです。情報源から集めるときは、どこで、いつ確かめたかを必ず残します。フォームと表示の確認、重複の除去、NGリストとの照合を終えた会社だけが、送る候補になります。最後に優先順位をつけ、点数の高い会社から送ります。

リストは、狙う顧客像(キャンペーン)ごとに分けて作ると、結果を比べやすくなります。第3章の小さなテストなら、1つの案につき数十社で十分です。

よくある失敗

  • 名簿を丸ごと取り込む:狙う顧客像に合わない会社が大量に混ざり、1社ずつの理由が書けなくなります。
  • 担当者ごとに別のファイルを持つ:同じ会社に別の担当者が送る事故が起きます。
  • 結果を書き戻さない:返信や停止の依頼がリストに残らず、次のリストに生かせません。

4-2 リストに持たせる列を決める

列の設計テンプレート

列は、会社・狙い・準備・管理の4つのまとまりに分けて考えます。次の4つの表の「列の名前」を、上から順に表計算ソフトの1行目に並べて使えます。1社を1行にします。

会社の情報

列の名前書く内容記入例
法人番号国税庁が指定した13桁の番号(13桁の数字)
会社名法人番号公表サイトの正式な商号株式会社〇〇
本店所在地都道府県と市区町村東京都〇〇区
サイトのURL公式サイトのトップページhttps://example.com
ドメインURLのうち会社を表す部分example.com

狙いの情報

列の名前書く内容記入例
業種自社で決めた分け方食品の製造
規模従業員数・拠点数と、その出典約150人・工場2か所
きっかけ出来事と、発表日・予定日新工場の稼働(11月2日発表、来年4月稼働)
きっかけの出典どこで確かめたか公式サイトのお知らせ
きっかけの確認日いつ確かめたか2026/11/05

送る準備の情報

列の名前書く内容記入例
フォームのURL送り先のページhttps://example.com/contact
フォームの種類法人向け、その他など法人のお客様向け
「営業お断り」の表示あり・なし。ありなら文言と場所なし
表示の確認日最後に確かめた日2026/11/06
表示の確認者確かめた人佐藤

管理の情報

列の名前書く内容記入例
NGリストとの照合照合した日と結果2026/11/07・該当なし
スコア4-8で決める点数8
状況未送信・送信済み・返信あり・商談・停止未送信
送信日と結果送った記録と結ぶ(第7章)2026/11/10・受付確認
メモ次にやること開店後にもう一度確かめる

入力のルール

列を決めたら、入力のルールもあわせて決めます。

  • 選択肢で入力する:「状況」や「表示」の列は、表計算ソフトの入力規則で選択肢から選ぶ形にする
  • 日付の形をそろえる:「2026/11/05」のように1つの形に決める
  • 並べ替えたい情報は列を分ける:確認日で古い順に並べたいなら、出典と確認日を別の列にする
  • 分からない欄は空けておく:推測で埋めない。空欄は「まだ確かめていない」という意味にする

個人の情報は入れない

リストの列には、担当者の名前や個人のメールアドレスを入れないことをすすめます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、法人そのものに関する情報は個人情報に当たらないとしています。一方で、役員や従業員に関する情報は個人情報に当たります。会社の窓口に送るフォーム営業では、多くの場合、担当者個人の情報は要りません。代表者の氏名を入れる場合も、個人情報として扱うことになります。扱い方の注意は第2章の2-5で説明しました。

4-3 情報源を選ぶ:公的なデータベース

まず、国や公的機関が公開しているデータベースを紹介します。どれも無料で見られますが、それぞれに利用規約があります。

法人番号公表サイト(国税庁)

法人番号は、国税庁長官が法人などに指定する13桁の番号です。利用範囲の制約がなく、誰でも自由に使えます。番号は1つの法人に1つで、支店や事業所には指定されません。個人事業主も指定の対象外です(国税庁「法人番号について」)。一度指定された番号は、社名や所在地が変わっても変わりません(法人番号公表サイト「よくある質問」)。

  • 公表される情報:法人番号・商号又は名称・本店又は主たる事務所の所在地の「基本3情報」です。ほかに、名称と所在地の変更履歴なども公表されます。フリガナと英語表記は、登録がある法人だけです。
  • 入手のしかた:画面で検索できます。前月末時点の全件データは、全国分または都道府県ごとに、CSVやXMLでダウンロードできます。新しく番号を指定した法人や、名称・所在地の変更、登記記録の閉鎖があった法人は、日別の差分データで入手できます。差分データは過去40日分まで置かれています(同「法人番号について」)。
  • データの項目:変更年月日、登記記録の閉鎖等年月日とその事由、承継先法人番号、法人番号指定年月日などがあります。承継先法人番号は、合併などで登記記録が閉鎖されたときの、存続する法人の番号です(国税庁「リソース定義書」)。
  • 利用規約:公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用でき、出典の記載が求められます。編集・加工したときはその旨も書き、国が作ったかのように見せることは禁じられています。
  • Web-API:プログラムから使うには、アプリケーションIDの発行を届け出ます(Web-API利用規約 第3条)。手続きは国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトから行い、発行までに2週間から1か月ほどかかります。API で得た情報を使うサービスには、国税庁が内容を保証したものではない旨の表示が求められます(第6条)。短時間に大量にアクセスするなど、運用に支障を与える行為は禁止されています(第9条第1項第3号)。

国税庁の案内資料も、ダウンロードした情報を新しい営業先の把握に使う例を挙げています。使いどころは、正式な商号と所在地の確認、重複を除くときの目印(4-6)、閉鎖や合併の確認です。業種、規模、連絡先は含まれていません。

gBizINFO(経済産業省)

gBizINFOは、経済産業省が運営するサイトです。政府が持つ法人の情報を、法人番号に結びつけて公開しています。トップページでは、500万社以上の政府保有の法人データを提供するとしています。検索できる情報は、所在地・資本金・創業や設立の年・従業員数などの企業情報と、業種、財務、職場情報です。補助金、調達、届出・認定・表彰、特許といった政府の情報もあります。API(事前の利用申請が必要)やデータのダウンロードもあり、「API・データダウンロード利用規約」に従って使います。

規模の確認や、補助金・認定をきっかけにした会社探しに向きます。政府が持つ情報を集めたものなので、すべての法人に同じ項目がそろっているとは限りません。

EDINET(金融庁)

EDINETは、有価証券報告書などの開示書類をインターネットで見られる電子開示システムです。金融商品取引法にもとづく書類が対象です(金融庁「EDINET概要書」)。上場企業などの事業の内容、拠点、経営の課題、計画を知るのに役立ちます。

EDINETの利用規約(2025年4月改訂)では、コンテンツは公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で使えます。利用するときは出典の記載が求められます。また、スクレイピングなどでサイトから機械的に内容を取得することは禁止され、機械的に取得するときはAPIを使うよう定めています。APIでも、短時間に大量にアクセスする行為は禁止されています。

官報

官報は、法令や公告を載せる国の機関紙です。会社関係では、解散・合併・決算・組織変更などの公告が載ります(国立国会図書館「日本‐官報(法令情報)の調べ方」)。内閣府の官報発行サイトでは、直近90日分を無料で閲覧できます。90日を過ぎた官報も、一部の記事を除いて閲覧できます。キーワードで過去の記事を探すには、国立印刷局の有料の「官報情報検索サービス」を使います。

営業リストでは、合併や解散をした会社を外すための確認に使えます。なお、官報などで公表されている情報でも、特定の個人を識別できるものは個人情報に当たるとされています(個人情報保護委員会「よくある質問」Q2-1)。官報から個人の情報をリストに写すことはしません。

4-4 情報源を選ぶ:業界・企業の公開情報と、自社の情報

業界団体の会員名簿

業界団体のサイトには、会員の会社名と所在地を載せた一覧があることがあります。業種で絞ったリストの土台になります。ただし、会員でない会社は載りません。団体によっては、名簿を営業に使わないよう注意書きをしていることがあるので、載せている目的と注意書きを確かめます。担当者の氏名が載っていても、リストには写しません。

展示会の出展者一覧

展示会の公式サイトの出展者一覧は、「出展」というきっかけを持つ会社を見つけるのに役立ちます。主催者のサイトの利用規約を確かめ、一覧の内容を転載しないようにします。会期が終わると一覧が消えることがあるため、見つけた日と会期をリストに残します。

プレスリリースと企業のお知らせ

新店舗、新サービス、資金調達などのきっかけは、プレスリリースや企業のお知らせで見つかります。プレスリリースの配信サイトにも利用規約があり、記事の転載や機械的な収集に条件をつけていることがあります。配信サイトは見つけるきっかけに使い、事実と日付は相手の公式サイトで確かめます。

求人情報

採用の強化は、相手の会社の採用ページで確かめるのが基本です。求人サイトを使うときは、規約をよく読みます。

たとえば、ハローワークインターネットサービスのサイトポリシーは、「掲載情報の利用について」の項で、次のように定めています。

掲載されている情報の利用に当たっては、求人・求職の結合を図るという、当ホームページの目的に沿って利用することとし、当ホームページの目的と関係のない営業等の対象にする行為等については、これを行うことを禁止します。(ハローワークインターネットサービス「サイトポリシー」)

この定めに照らすと、ここで見つけた求人を理由に営業の連絡をするのは、サイトの目的に沿った使い方とはいえないと考えられます。この本では、ハローワークインターネットサービスの求人情報を、営業リストの材料にしないことをすすめます。民間の求人サイトも、それぞれの利用規約に従って判断します。

自社への問い合わせ・名刺・過去の商談

自社に問い合わせをくれた会社や、名刺を交換した会社は、すでに接点がある相手です。多くは既存の担当者が対応すべき相手なので、新規のフォーム営業のリストに入れる前に、NGリストや顧客の記録と照らします。名刺などの個人情報は、取得したときに示した利用目的の範囲で扱います(第2章)。

情報源ごとの特徴と注意点

情報源分かること向く使い方注意点
法人番号公表サイト正式な商号・所在地、変更・閉鎖重複の除去、閉鎖の確認業種・規模・連絡先はない
gBizINFO資本金、従業員数、補助金、認定・表彰規模の確認、きっかけ探し法人によって項目に差がある
EDINET有価証券報告書などの開示書類上場企業などの計画の把握機械的な取得はAPIで
官報合併・解散などの公告合併・解散した会社の除外個人の情報を写さない
業界団体の会員名簿同じ業界の会社名・所在地業種で絞った土台名簿の目的と注意書き
展示会の出展者一覧出展する会社と分野出展をきっかけにした提案会期後に消えることがある
プレスリリース新店舗、新サービス、資金調達きっかけ探し公式サイトで事実を確かめる
求人情報募集の職種や拠点採用の強化の確認営業への利用を禁じるサイトがある
自社の問い合わせ・名刺過去の接点関係のある会社の整理利用目的の範囲で扱う

どの情報源にも共通するルール

  • 集める前に利用規約を読み、転載・二次利用・機械的な取得の条件を確かめる。出典の書き方の定めにも従う
  • プログラムで集めるのは、提供元が用意したAPIやデータのダウンロードなど、規約で認められた方法だけにする
  • APIでも、規約の上限を守り、短時間に大量のアクセスをしない
  • 画面を自動で巡回して内容を写し取るプログラム(スクレイピング)は、EDINETのように規約で禁じているサイトがある。規約で認められていない限り使わない
  • 情報源と取得した日を、行ごとに残す
  • 個人の氏名や連絡先は集めない
  • 有料のデータを使うときは、4-9の注意を確かめる

4-5 問い合わせフォームを見つけ、「営業お断り」を確かめる

フォームの見つけ方

  1. 公式サイトの上部か下部のメニューで、「お問い合わせ」「Contact」を探す
  2. 見つからなければ、「会社概要」や「サイトマップ」のページを見る
  3. 窓口が複数あるときは、法人向けの窓口や「その他のお問い合わせ」を選ぶ
  4. フォームのURLと種類をリストに書く

次のフォームは送り先にしません。採用の応募専用のフォーム、個人のお客様向けの窓口、ログインが必要なフォーム、「営業お断り」の表示があるフォームです。CAPTCHA(画像の文字などで人かどうかを確かめる仕組み)を自動で突破することもしません。くわしくは第7章で説明します。

「営業お断り」の表示を確かめる

「営業お断り」の表示は、フォームの近くだけにあるとは限りません。次の場所を順に確かめます。

図2「営業お断り」を探す場所
「営業お断り」を探す場所:フォームの上の説明、入力欄やボタンの近く、問い合わせの種別、注意事項のページ、規約・サイトポリシー、会社概要・お知らせ
図の内容を文字で読む
  • フォームの上の説明入力欄の前にある案内文
  • 入力欄やボタンの近く注意書きや同意の欄
  • 問い合わせの種別選択肢の説明や注意
  • 注意事項のページフォームからリンクされた注意
  • 規約・サイトポリシーサイト全体の利用のルール
  • 会社概要・お知らせ会社としての方針の掲示

表示の言葉はさまざまです。「営業目的のご連絡はご遠慮ください」「セールス・勧誘のお問い合わせはお断りしております」「営業のご連絡には返信いたしかねます」などがあります。どれも、営業の連絡を望んでいないという意思表示として扱います。

確かめるときのルールは次のとおりです。

  • 迷ったら送らない:営業を断っているのか判断に迷う表示は、送らない側に倒す
  • 言葉を写して残す:表示の文言、見つけた場所、確認日、確認した人をリストに書く
  • 2回確かめる:リストを作るときと、送る直前に確かめる。表示はあとから加わることがある
  • 表示があればNGリストへ:その会社は「営業お断り」の理由でNGリストに入れる(4-7)

「営業お断り」の表示が持つ意味は第2章の2-7で説明しました。送る前の最終確認は第7章で説明します。

4-6 重複を除く:法人番号で名寄せする

いくつかの情報源から集めると、同じ会社が何度も出てきます。「株式会社〇〇」「(株)〇〇」「株式会社〇〇 東京支店」のように書き方も違うため、会社名だけでは見分けられません。そこで、法人番号を目印にして同じ会社をまとめます。これを名寄せといいます。

名寄せの手順

  1. 表記を整える:「(株)」を「株式会社」に直し、全角と半角を統一し、余分な空白を消す。「株式会社」が前か後ろかは社名の一部なので、位置は動かさない
  2. 法人番号をつける:法人番号公表サイトで、会社名と所在地から番号を確かめて列に入れる。行が多いときは、全件データと照らして一度につける
  3. 重複を探す:法人番号の列で並べ替え、同じ番号が2行以上ないかを見る。表計算ソフトなら、補助の列に「=COUNTIF(A:A,A2)」と入れ、2以上の行を探す(A列が法人番号の場合)
  4. 番号がない行はドメインで照らす:法人番号が分からない行は、サイトのドメインで同じ会社を探す
  5. 残す行を決める:きっかけの情報が新しく、確認日が新しい行を残し、ほかの行の情報を足してから消す
  6. 送信の履歴と照らす:過去に送った会社や、別のキャンペーンで送る予定の会社が入っていないかを、法人番号で確かめる

迷いやすい場合の扱い

  • 支店・営業所:法人番号は法人に1つで、支店にはつきません。同じ番号の支店は、1社として扱います。
  • グループ会社:別の法人なので、番号も別です。グループの1社に停止を頼まれたとき、ほかの会社をどう扱うかを社内で決めておきます。
  • 社名の変更・移転:法人番号は変わりません。番号で照らせば同じ会社と分かるので、商号と所在地を新しいものに直します。
  • 合併:吸収されて消えた会社は、登記記録の閉鎖等の事由と承継先法人番号で確かめられます。存続する会社の番号の行にまとめます。
  • 個人事業主:法人番号はありません。屋号、所在地、ドメインで照らします。

4-7 NGリストを運用する

NGリストは、送らない企業の一覧です。営業リストとは別に、会社で1つだけ持ちます。

NGリストに入れる会社

種類例主に登録する人外すとき
既存の顧客契約中の会社顧客の担当者原則として外さない
商談中・対応中担当の営業がいる会社営業の担当者担当者と責任者が判断する
取引先・提携先仕入れ先、販売の代理店各部署取引が終わっても慎重に判断する
競合同じ商材を売る会社企画・営業の責任者方針が変わったとき
停止の依頼「今後は不要」と言われた会社依頼を受けた人外さない
「営業お断り」の表示表示を確かめた会社リストを作る人外さない
苦情苦情を受けた会社対応した人外さない
関係会社自社のグループ会社など管理部門方針が変わったとき

停止の依頼、「営業お断り」の表示、苦情の3つは、相手の意思にもとづくものです。相手から改めて連絡がない限り、外しません。

NGリストの列

法人番号、会社名、ドメイン、種類、対象の範囲、登録日、登録した人、経緯を記録します。対象の範囲は、迷ったら「会社全体」とします。相手から見れば、どの部署や担当者からの連絡も、同じ会社からの連絡だからです。

運用のルール

  • 会社で1つにまとめる:部署や担当者ごとに持たない
  • 法人番号とドメインで照らす:会社名の書き方の違いで見逃さない
  • 送る直前にも照らす:リストを作るときだけで終わらせない
  • 外すときは承認を得る:責任者の承認と、その理由を記録する
  • 外注先と共有する:自社の名前で送るすべての送信に反映する

停止の依頼を受けてから反映するまでの流れと期限は、第11章で説明します。

よくある失敗

  • 会社名だけで照らす:「(株)」の有無などで一致せず、送ってしまいます。
  • 担当者のメモに残ったまま:停止の依頼がNGリストに届かず、別の担当者が送ってしまいます。
  • 予約した送信を止め忘れる:NGリストに入れても、すでに予約した送信が残っていることがあります。

4-8 優先順位をつける(スコアリング)

1社ずつ理由のある提案をするには、準備に時間がかかります。そこで、送る候補に点数(スコア)をつけ、点数の高い会社から準備します。NGリストに入った会社と「営業お断り」の表示がある会社は、点数をつける前に外します。点数が低いのではなく、送らない会社だからです。

スコアのつけ方の例

点数は、狙う顧客像との合い方と、きっかけの2つを中心に決めます。次の表は一例です。点数の配分や日数の区切りは、自社の結果を見て直していきます。

項目条件点数
業種狙う顧客像に合う:3点/近い:1点0〜3
規模狙う範囲に入る:2点0〜2
きっかけ発表から30日以内:3点/31〜90日:1点0〜3
きっかけの重なり2つ以上のきっかけがある:1点0〜1
窓口法人向けの問い合わせ窓口がある:1点0〜1

合計は10点です。たとえば8点以上をA(今週準備する)、5〜7点をB(次に準備する)、4点以下をC(様子を見る)とします。

2つの軸で見る

点数のもとになる2つの軸を図にすると、次のようになります。

図3送る順番の決め方
送る順番の決め方:最優先で送る、次に送る、少ない数で試す、後回しにする
図の内容を文字で読む
顧客像に近い顧客像から遠いきっかけがあるきっかけがない
最優先で送る理由がはっきりし、提案も合う
次に送る提案は合うが、今の理由が弱い
少ない数で試す理由はあるが、合うかは不明
後回しにする理由も合い方も弱い

狙う顧客像に近く、きっかけもある会社から送ります。顧客像から遠いがきっかけのある会社は、新しい狙いを確かめるテストとして少ない数で試します。

結果を見て直す

送った結果は、スコアの列の隣に書き戻します。点数の高い会社が実際に商談になっているかを見て、配分を直します。数字の見方は第9章で説明します。

4-9 品質を保ち、更新する。リストを買うときの注意

品質を点検する

会社の情報は、移転、社名の変更、閉鎖などで少しずつ古くなります。送る前に、次の点を確かめます。

  • 確認日が古い行:自社で期限を決め(例:90日)、過ぎた行はもう一度確かめる
  • 閉鎖・合併・社名の変更:法人番号公表サイトの差分データで、登記記録の閉鎖や商号の変更がないかを見る
  • サイトとフォーム:サイトが開けない、フォームのURLが変わった行を直す
  • 「営業お断り」の表示:新しく加わっていないかを、送る直前に確かめる
  • 送信の結果:エラーや受付を確かめられなかった行は、原因を確かめるまで送らない

更新の流れを決める

更新は、担当と時期を決めて行います。

例文更新の予定表(記入例)
毎月第1営業日:差分データで閉鎖・合併・社名の変更を確かめる(担当:佐藤)
送る直前:その会社の「営業お断り」の表示とNGリストを確かめる(担当:送る人)
毎日夕方:返信と停止の依頼をリストに書き戻す(担当:山田)
3か月ごと:確認日が90日を過ぎた行を洗い出し、確かめ直す(担当:佐藤)

差分データは過去40日分しか置かれていないため、取得を忘れた月があると、その間の変更を見落とします。取得した日を記録しておきましょう。

リストを買うときの注意

有料のリストを使うと、たくさんの会社をすぐに集められます。ただし、狙う顧客像やきっかけに合うとは限りません。買う前に、次のことを販売元に確かめます。

  1. 情報をどこから、どんな方法で集めたか。利用規約や法令に沿った集め方か
  2. いつ更新した情報か
  3. どんな項目が入っているか。個人の氏名や連絡先を含むか
  4. 使える範囲。社内だけか、外注先と共有できるか、使える期間はいつまでか
  5. 停止の依頼や「営業お断り」の情報をどう扱っているか

担当者名などの個人の情報を含むリストを受け取るときは、個人情報保護法の確認と記録の義務がかかることがあります。個人情報保護委員会のガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)の要点は、次のとおりです。

  • 提供する側の氏名または名称・住所・法人の代表者の氏名と、その個人データの取得の経緯を確かめる(法第30条第1項)
  • 確かめた内容などを記録し、原則3年保存する(法第30条第3項・第4項、施行規則第25条)
  • 適法に入手されたものではないと疑われるのに、あえて提供を受けると、不正な手段による取得を禁じる法第20条第1項の違反と判断される可能性がある

「オプトアウト」とは、本人の求めがあれば提供を止めることを前提に、本人の同意なしで第三者に提供する方法です(法第27条第2項)。この方法で名簿を販売する事業者は、個人情報保護委員会への届出が必要です。届出の内容は委員会のサイトで公表されているので、販売元が届け出ているかを確かめられます。判断に迷うときは、専門家に相談してください。法律の説明と、買う前のチェックリストは第2章の2-5にあります。

買ったリストも、自分で作ったリストと同じく、重複の除去、NGリストとの照合、「営業お断り」の表示の確認を必ず行います。

やってみよう

1 20社のリストを作る

4-2のテンプレートで表を作り、第3章で決めた狙う顧客像に合う会社を20社集めてください。全行に、法人番号、きっかけの出典と確認日、「営業お断り」の表示の有無と確認日を入れます。分からない欄は空けておきます。

2 NGリストを作る

4-7の表の種類ごとに、自社で当てはまる会社を書き出してください。既存の顧客と商談中の会社は、顧客の記録から法人番号つきで写します。できたら、1で作った20社と法人番号で照らし、当てはまる会社を外します。

3 スコアをつけて順番を決める

残った会社に4-8の表で点数をつけ、A・B・Cに分けます。Aの会社について、きっかけを一文で書けるかを確かめましょう。書けない会社は、点数のつけ方を見直すきっかけになります。

次は、作業の結果を記録した架空の記入例です。

例文作業の記録(記入例)
集めた数:20社(展示会の出展者一覧12社、業界団体の名簿8社)
重複で除いた数:2社(法人番号が同じ)
NGリストで除いた数:3社(既存の顧客2社、停止の依頼1社)
「営業お断り」の表示で除いた数:2社
送る候補:13社(A:4社、B:6社、C:3社)

この章のまとめ

  • 営業リストは、送る理由と、送らない判断の両方を記録する一覧
  • 列は先に決め、法人番号、きっかけと確認日、「営業お断り」の表示と確認日を必ず持たせる
  • 公的なデータベースや公開情報にも利用規約がある。転載・機械的な取得・営業目的の利用の条件を確かめる
  • 「営業お断り」の表示は、フォームの近くだけでなくサイト全体で確かめ、迷ったら送らない
  • 重複は法人番号で除き、番号がないときはドメインで照らす
  • NGリストは会社で1つにし、送る直前にも法人番号とドメインで照らす
  • 優先順位は、狙う顧客像との合い方ときっかけで点数をつけ、結果を見て直す
  • リストを買うときは、出どころ・更新日・項目・使える範囲を確かめ、個人の情報の扱いに注意する

この章の参考資料

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