フォーム営業の教科書

付録

アポツム編集部情報は2026年11月時点

この付録には、本文で説明したことを、手元で使える形にまとめました。チェックリストやひな形は、自社の営業活動で使うために、自由に書き換えてかまいません。付録A〜Cは、表計算ソフトや文書ソフトで使えるファイルでも配っています(apotsumu.com/textbook/tokuten)。

付録使う場面
A 送信前チェックリストキャンペーンを始める前と、1社に送る前
B 文面チェックリスト文面を書き終えたときと、承認するとき
C 運用ルールのひな形チームのルールを作る・見直すとき
D 用語集言葉の意味を確かめたいとき
E よくある質問迷ったときに、答えと章を探すとき
F 主な参考資料法律や公的な資料の原文に当たるとき

各項目の(第◯章)や「→ 第◯章」は、くわしい説明がある章です。チェックリストで迷った項目は、その章に戻って確かめてください。

付録A 送信前チェックリスト

送る前に確かめることを、段階ごとにまとめました。「戦略」「リスト」「返信の準備」は、キャンペーンを始める前に1回確かめます。「文面」「フォーム」「送信」「記録」は、1社に送るたびに確かめます。

□に印をつけられない項目があれば、送る前に直します。とくに「フォーム」の段階で迷ったら、その会社には送りません。

戦略(キャンペーンを始める前に)

  • □ 目的を1つに絞り、ゴールを期間・対象・商談の数・学び・見直す基準で書いた(第3章)
  • □ 狙う顧客像(ICP)と狙わない条件を、それぞれ一文で書いた(第3章)
  • □ 使う提案のきっかけを1〜2個に決め、最初に読んでほしい部署を決めた(第3章)
  • □ オファー(最初の一歩)を1つに絞り、相手の手間を「15分」のように示せる(第3章)
  • □ 小さく試す計画で変えるものを1つにし、見る数字と締めの日を決めた(第3章・第9章)

リスト(キャンペーンを始める前に)

  • □ 情報源の利用規約を読み、行ごとに出典と確認日を残した(第4章)
  • □ 担当者の氏名や個人のメールアドレスを、リストに入れていない(第2章・第4章)
  • □ 法人番号で名寄せし、番号のない行はドメインで重複を除いた(第4章)
  • □ NGリストと、法人番号とドメインで照らした(第4章・第11章)
  • □ 「営業お断り」の表示をサイト全体で探し、文言・場所・確認日を残した(第4章)
  • □ 過去の送信記録と照らし、社内で決めた期間内に連絡した会社を除いた(第4章・第7章)
  • □ 買ったリストなら、出どころ・更新日・項目・使える範囲を確かめて記録した(第2章・第4章)

文面(1社ごとに)

  • □ 付録Bの文面チェックリストを、すべて満たしている(第5章)
  • □ フォームの文字数の上限に合う長さの版を選び、途中で切っていない(第5章・第7章)
  • □ 書いた人とは別の人が承認し、文面の版・承認者・日付を記録した(第11章)
  • □ 承認のあとで文面・送り先・送信者を変えていない。変えたなら承認し直した(第10章・第11章)

フォーム(1社ごとに)

  • □ 送る直前に、「営業お断り」の表示がないことをもう一度確かめた(第4章・第7章)
  • □ 採用の応募専用・個人のお客様の窓口・ログインが必要・用途が限られたフォームではない(第7章)
  • □ 必須項目に、注文番号やご予算など、自社に当てはまらないものがない(第7章)
  • □ 問い合わせの種別は「営業・ご提案」か「その他」を選び、見積もり依頼などを装っていない(第7章)
  • □ 会社名・氏名・メール・電話・住所を、文面やサイトと同じ内容で入れた(第7章)
  • □ ファイルを添付していない(第7章)

送信(1社ごとに)

  • □ 確認画面で、相手の社名と、文面の最後の送信者の情報・停止の案内まで入ったことを見た(第7章)
  • □ CAPTCHA が出たら、人が内容を確かめて答えた。自動で突破していない(第7章・第10章)
  • □ 相手の営業時間の中で、自社がその日のうちに返信に対応できる時間に送る(第7章)
  • □ 今日の送信は、1社ずつ確かめられる量と、返信に返せる量に収まっている(第7章)

記録(1社ごとに)

  • □ 受付の日時・フォームのURL・選んだ種別・文面の全文を、送信記録に残した(第7章)
  • □ 結果を「受付確認/エラー/不明/送らなかった」で記録し、受付を確かめた方法も書いた(第7章・第9章)
  • □ 完了したか分からないときは再送せず、「不明」と記録した(第7章・第10章)

返信の準備(キャンペーンを始める前に)

  • □ 返信用のアドレスは自社ドメインの共有アドレスで、SPF・DKIM・DMARC の設定を確かめた(第7章)
  • □ 予約ページと資料を用意し、文面で約束した内容が入っていることを確かめた(第7章)
  • □ 共有のアドレスを見る時刻と、返信の担当・代わりの人を決め、電話の取り次ぎ先も受付に伝えた(第7章・第8章)
  • □ 停止の依頼はNGリストの管理者へ当日中に、苦情は運用の責任者へ回す流れを決めた(第7章・第11章)

付録B 文面チェックリスト

第5章の内容を、1ページで見返せる形にまとめました。文面を書き終えたときと、承認するときに、1通ずつ確かめます。( )の番号は、くわしい説明がある第5章の節です。

組み立て

  • □ 冒頭の3行で、誰が・なぜ・何の用かが分かる(5-2)
  • □ 件名は「相手の場面+提案の中身+自社名」で、「至急」「重要」「Re:」を使っていない(5-2)
  • □ 回してほしい部署を書き、転送されても1通で意味が通る(5-1)

提案の理由

  • □ 社名を隠して読むと、ほかの会社には通じない(5-3)
  • □ 使った事実は会社として公開している情報で、出典と日付を確かめて記録した(5-3)
  • □ 相手の課題を決めつけていない。推測は推測と分かる形で書いた(5-3)

価値と根拠

  • □ 価値は、相手の仕事の場面で、提案の理由に合う1つだけを書いた(5-4)
  • □ 実績の数字に範囲と時点を添え、事例の社名は許可を得たものだけにした(5-4)
  • □ 「No.1」「最安」「必ず」「今だけ」や、不安をあおる言葉を使っていない(5-4)

お願い・停止の案内・送信者の情報

  • □ お願いは1つで、所要時間・形式・何をする場かが分かる(5-5)
  • □ 停止の案内は手続きが軽く、申し出のあとどうなるかまで書いてある(5-5)
  • □ 文面の最後に、会社名・部署・氏名・住所・電話・メールを書いた(5-5)

言葉づかいと最後の確認

  • □ 一文が長すぎず、二重敬語・文字化けしやすい記号・絵文字・飾りの記号がない(5-7)
  • □ AIの下書きは、事実・決めつけ・誇張を人が直した(5-8)
  • □ 宛名と差し込みに、別の会社の名前や〔 〕が残っていない(5-9)
  • □ フォームの上限に収まり、停止の案内と送信者の情報まで入る長さである(5-6)

付録C 運用ルールのひな形

第11章の目次(11-1)にそって、ルールブックの本文を書き込むためのひな形です。項目の番号は、第11章の目次の番号にそろえています。

  • 〔 〕には、自社の内容を書き込みます。
  • 〔A/B〕と書いた欄は、どちらかを選びます。
  • 数字の欄は空けてあります。自社の商材と相手の反応を見て決め、理由を1行添えます。
  • 合わない項目は削り、足りない項目は足します。

記入のしかたは、第11章の「やってみよう」の記入例と、付録Cの最後の記入例を参考にしてください。AIの利用ルールのひな形は、第10章(10-6)にあります。

ひな形1 方針と役割

表紙には、版と改訂日を必ず書きます。いつの版かが分からないと、古い決まりで動く人が出るからです。

例文ひな形1 表紙・目的と基本方針・役割と責任者
フォーム営業 運用ルール 第〔 〕版
改訂日:〔 〕年〔 〕月〔 〕日
運用責任者:〔 〕
この版で変えたこと:〔 〕

1. 目的と基本方針
・目的:〔 〕
・相手に迷惑をかけない。迷ったら送らない。
・「営業お断り」の表示がある会社と、NGリストの会社には送らない。
・すべての文面に、送信者の情報と停止の案内を入れる。
・同じ会社に重ねて送らない。
・停止の依頼には、経路を問わず、会社全体として応じる。

2. 役割と責任者(兼務してもよいが、文面の作成者と承認者は別の人にする)
運用責任者:〔 〕
リスト担当:〔 〕
文面の作成者:〔 〕
承認者:〔 〕
送信担当:〔 〕
受付担当:〔 〕 休むときの代わり:〔 〕
法律の相談先:〔 〕 相談する段階:〔 〕

ひな形2 送る相手と、連絡の上限

連絡の回数と間隔は、フォーム・電話・メール・手紙をまたいで数えます(第11章・第12章)。

例文ひな形2 送る相手の基準・NGリストの管理・連絡の上限
3. 送る相手の基準
・狙う顧客像:〔 〕
・狙わない条件:〔 〕
・送らない相手:NGリストの会社、「営業お断り」の表示がある会社、〔 〕
・「営業お断り」を確かめる時:リストを作るときと、送る直前
・リストを買うとき:〔 〕が、出どころ・更新日・項目・使える範囲を確かめて記録する

4. NGリストの管理
・置き場所:〔 〕(会社で1つ。部署・担当者・外注先ごとにコピーを持たない)
・登録できる人:依頼を受けた人は誰でも
・削除できる人:〔 〕だけ。理由を確かめ、履歴に残す
・照らす目印:法人番号とドメイン(会社名だけで照らさない)
・照らす時:リストを作るときと、送る直前
・使う人:フォーム・電話・メール・手紙のすべての担当
・外注先との共有:〔同じものを見てもらう/〔 〕ごとに最新版を渡す〕

5. 同じ会社への連絡の回数と間隔の上限(方法をまたいで数える)
・上限:〔 〕日に〔 〕回まで
・通算:〔 〕回まで
・区切りの連絡を送ったあと:〔 〕
・断り・停止の依頼・苦情があった会社:期間にかかわらず送らない
・グループ会社の扱い:〔 〕

ひな形3 文面と送信の手順

承認者が見るのは、事実・表示・宛名・送り先の4つです(第11章)。

例文ひな形3 文面の基準と承認・送信の手順
6. 文面の基準と承認
・必ず入れるもの:名乗り、提案の理由、お願い1つ、停止の案内、送信者の情報
・使わない言葉:根拠を示せない「No.1」「最安」「必ず」、〔 〕
・作成者は、付録Bで点検してから承認を申請する
・型を承認する人:〔 〕
・差し込み部分を確かめる人:〔 〕
・承認の記録:文面の版・承認者・日付を〔 〕に残す
・承認のあとで文面・送り先・送信者を変えたら、承認し直す
・1人が1日に承認する数の上限:〔 〕件

7. 送信の手順
・送る時間帯:相手の営業時間の中の〔 〕時〜〔 〕時
・1日に送る数の上限:1人〔 〕社まで
・問い合わせの種別:「営業・ご提案」か「その他」。どちらもなければ送らない
・CAPTCHA:人が確かめて答える。自動で突破しない
・ログインが必要なフォーム:送らない
・完了したか分からないとき:再送しない。記録は「不明」
・使うツール:〔 〕
・ツールの設定を変えられる人:〔 〕

ひな形4 記録・停止の依頼・苦情

停止の依頼の期限は、「次の送信より前に、確実に反映する」ことを基準に決めます(第11章)。

例文ひな形4 記録と保存・停止の依頼・苦情とSNS
8. 記録と保存
・送信記録と承認の記録:〔 〕年
・NGリストと変更の履歴:〔 〕
・停止の依頼と苦情の記録:〔 〕
・名簿を買ったときの確認の記録:〔 〕年(法令の期間を確かめて決める)
・置き場所:〔 〕
・見られる人:〔 〕

9. 停止の依頼
・受け付ける経路:返信、電話、停止用のページ、〔 〕(どの経路でも依頼として扱う)
・範囲:会社全体(グループ全体を求められたら、その範囲)
・NGリストへの登録:受けてから〔 〕以内(遅くとも〔 〕営業日以内)
・予約済みの送信の停止:登録と同時
・外注先・他部署への連絡:受けてから〔 〕以内
・相手への返事:〔 〕営業日以内。受け付けたことだけを短く伝える
・反映の確認:〔 〕に1回、送信記録と照らす

10. 苦情とSNS
・受けた人:反論せずに記録し、〔 〕に報告する
・調べる前に:その会社をNGリストに登録する
・一次の返事:受けてから〔 〕以内
・責任者にすぐ上げるもの:法的な措置・賠償・請求の言葉、弁護士や官公庁からの連絡、個人情報の開示や利用停止の求め、くり返しの送信、SNSへの投稿
・自社名での検索:〔 〕に1回(担当:〔 〕)
・公式の説明を出すかを決める人:〔 〕
・しないこと:言い返す、相手のせいにする、法的な評価や賠償の約束を書く、おわびに提案を添える、個人のアカウントで反応する

ひな形5 止める基準・個人情報・外注先・教育

止める基準の数字は、第9章の「止める合図」を参考に決めます。

例文ひな形5 送信を止める基準・個人情報の扱い・外注先の管理・教育と点検
11. 送信を止める基準
・停止の依頼率が〔 〕%を超えたとき、または前回の〔 〕倍になったとき
・苦情が〔 〕件あったとき
・止めて見直すかを決める人:〔 〕

12. 個人情報の扱い
・リストに担当者名の列を〔つくらない/つくる(理由:〔 〕)〕
・個人の情報を見られる人:〔 〕
・持ち出し:〔禁止/条件:〔 〕〕
・AIに入れない情報:個人の連絡先、返信の文章の名前とアドレス、〔 〕
・プライバシーポリシーの利用目的の確認:〔 〕が〔 〕に1回

13. 外注先の管理
・始める前に渡すもの:このルール、最新のNGリスト、承認済みの文面、停止の依頼の受付方法
・停止の依頼の共有:互いに受けてから〔 〕以内
・送信記録の報告:〔 〕に1回
・点検:受け取った記録を自社のNGリストと照らす
・契約が終わるとき:渡したリストの返却か消去を確かめる

14. 教育と点検・改訂
・新しい担当者:最初の〔 〕社は、全件を承認者が確かめる
・毎月の点検日:毎月〔 〕日(点検の項目は第11章の11-9)
・ルールの見直し:〔 〕か月ごと(担当:〔 〕)

ひな形6 停止の依頼・苦情の受付票

依頼や苦情を受けた人が、その場で書き込む票です。1件を1枚(表計算なら1行)にします。

例文ひな形6 停止の依頼・苦情の受付票
受けた日時:〔 〕年〔 〕月〔 〕日 〔 〕時〔 〕分
受けた人:〔 〕
会社名:〔 〕
法人番号:〔 〕 ドメイン:〔 〕
受けた経路:〔返信/電話/停止用のページ/そのほか(〔 〕)〕
種類:〔停止の依頼/苦情/両方〕
相手の言葉(そのまま写す):〔 〕
範囲:会社全体(ほかの範囲を求められたら:〔 〕)

NGリストに登録した日時と人:〔 〕
予約済みの送信を止めた日時:〔 〕
外注先・他部署に伝えた日時と方法:〔 〕
返事をした日時:〔 〕
運用責任者への報告:〔要/不要〕 報告した日時:〔 〕
原因と直したこと(苦情のとき):〔 〕

記入例

ひな形4の「9. 停止の依頼」を、第11章の期限の記入例にそろえて埋めた記入例です。法律で決まった期限ではないので、数字は自社で決めてください。

例文記入例 ひな形4「9. 停止の依頼」
・受け付ける経路:返信、電話、停止用のページ、担当者個人あてのメール(どの経路でも依頼として扱う)
・範囲:会社全体(グループ全体を求められたら、その範囲)
・NGリストへの登録:受けた当日中(遅くとも翌営業日)
・予約済みの送信の停止:登録と同時
・外注先・他部署への連絡:受けた当日中
・相手への返事:1営業日以内。受け付けたことだけを短く伝える
・反映の確認:毎週1回、送信記録と照らす

付録D 用語集

本文に出てくる用語を、五十音順に並べました。アルファベットで始まる用語は、最後にまとめています。

あ行

  • アポ率:商談数 ÷ 受付確認数。この本では、フォーム営業の成果をはかるいちばん大事な率としています。→ 第9章
  • 受付確認数:送信完了の画面や自動返信のメールなどで、相手のフォームが受け付けたと確かめられた数。エラーや「不明」は含めません。→ 第7章・第9章
  • 受付確認率:受付確認数 ÷ 送信数。下がったときは、リストの古さや入力の誤りなど、送信の手順を点検します。→ 第7章・第9章
  • 「営業お断り」の表示:フォームやサイトにある「営業目的のご連絡はご遠慮ください」などの案内。表示があれば送らず、その会社をNGリストに入れます。→ 第2章・第4章・第7章
  • 営業代行:営業の業務を外部の会社に任せること。料金の形には固定報酬型・成果報酬型・複合型があり、何を「成果」と数えるかを契約の前に確かめます。→ 第10章
  • 営業リスト:送る会社と送る理由を並べ、送らないと決めた会社とその理由も記録する一覧。1社を1行にし、法人番号やきっかけの確認日などの列を持たせます。→ 第4章
  • オファー:文面の最後で相手にお願いする「最初の一歩」の中身。資料、事例の紹介、短い説明などから、相手の負担が小さいものを1つ選びます。→ 第3章
  • オプトアウト:受け取る側が「今後は送らないで」と伝えることで、この本では「停止の依頼」と呼びます。個人情報保護法では、本人の求めで止めることを前提に、同意なしで第三者に提供する方法(届出が必要)を指します。→ 第2章・第4章
  • オプトイン:受け取る側が、あらかじめ「送ってほしい」「送ってよい」と伝えること(同意)。特定電子メール法は、広告・宣伝のメールを送れる相手を、同意した人などに限っています。→ 第2章

か行

  • キャンペーン:狙う相手と文面が同じ送信のまとまり。リストを分けたり、数字を比べたりする単位にします。→ 第4章・第9章
  • 業務妨害:偽計(人をだます手段)や威力などで人の業務を妨げる行為で、刑法第233条・第234条・第234条の2に罰則があります。用件を偽る送信や短い間のくり返しの送信は、この規定との関係を問われえますが、罪になるかは個別に判断されます。→ 第2章
  • 景品表示法:正式名「不当景品類及び不当表示防止法」で、実際や他社のものより著しくよいと一般消費者に思わせる表示などを禁じています。事業者向けの提案にそのまま当てはまるとは限りませんが、文面の根拠を書くときの物差しになります。→ 第5章
  • 顧客生涯価値(LTV):1社の顧客が、取引を始めてから終えるまでに自社にもたらす利益の合計。費用と比べるときは、粗利で計算すると判断を誤りにくくなります。→ 第9章
  • 個人情報:生きている個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの。担当者の氏名や、サイトで公開されている代表者の氏名も当たり、法人そのものの情報は当たりません。→ 第2章・第4章
  • 個人情報保護法:正式名「個人情報の保護に関する法律」。担当者名を含むリストや名簿について、取得・利用目的・管理・第三者への提供のルールを定めています。→ 第2章

さ行

  • 締めの日:送ってから何日後に数字を確定するかの決まり(例:送信から14日後)。返信は遅れて届くため、締めをそろえないとキャンペーンどうしを比べられません。→ 第7章・第9章
  • 受信担当者:相手の会社で、問い合わせの窓口を受け持つ人。届いた連絡を短い時間で仕分け、関係する部署へ回すので、決める立場の人(決裁者)より先に文面を読みます。→ 第1章・第3章・第5章
  • 受注1件あたりの費用:総費用 ÷ 受注数で、CAC(顧客獲得費用)とも呼ばれます。同じ総費用を商談数で割ったものが、アポ1件あたりの費用です。→ 第9章
  • 受注数・受注率:受注した数と、受注数 ÷ 商談数。結果が出るまで時間がかかるので、キャンペーンごとに数か月後に数え直します。→ 第9章
  • 商談数(アポ数):商談の日程が決まった数。予約リンクからの予約も含め、実際に行ったかどうかは別に記録します。→ 第8章・第9章
  • 送信記録:1件の送信ごとに、受付の日時・フォームのURL・選んだ種別・文面の全文・結果などを残す表。重複の防止、苦情への説明、数字での改善に使います。→ 第7章
  • 送信者の情報:会社名・担当者名・連絡先(住所・電話・メール)。文面の最後に、フォームの入力欄やサイトと同じ内容で書きます。→ 第2章・第5章・第7章
  • 送信数:送ろうとした数。エラーになったものは含め、送らないと決めた会社は含めません。→ 第7章・第9章
  • 送信ドメイン認証:受け取る側が、メールが本当にその会社から送られたかを確かめる仕組み。SPF・DKIM・DMARC が代表的で、迷惑メールの判定をすり抜けるためのものではありません。→ 第7章

た行

  • 提案のきっかけ:今その会社に提案する理由になる出来事(トリガー)。展示会の出展、新店舗、採用の強化などがあり、公開情報で事実と日付を確かめて使います。→ 第3章・第4章
  • 提案の理由:「なぜ御社か」を示す一文か二文。相手について公開されている「事実」と、自社の提案との「つながり」でできていて、社名を隠すとほかの会社には通じない文にします。→ 第5章
  • 停止の案内:今後の連絡が不要な場合の伝え方を、文面に書くこと。手続きを軽くし、申し出のあとどうなるかまで書きます。→ 第5章
  • 停止の依頼:相手から「今後は送らないで」と言われること(オプトアウト)。経路を問わず受け付け、会社全体を対象に、次の送信より前にNGリストへ反映します。→ 第2章・第8章・第11章
  • 問い合わせの種別:フォームで選ぶ用件の分類。「営業・ご提案」などがあればそれを、なければ「その他」を選び、「見積もり依頼」などを装いません。→ 第7章
  • 特定商取引法:正式名「特定商取引に関する法律」で、通信販売の電子メール広告に承諾などの決まりがあります。相手が営業のために結ぶ契約は原則として対象外ですが、それは相手の属性ではなく、契約の目的と内容で決まります。→ 第2章
  • 特定電子メール法:正式名「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。広告・宣伝のメールについて、同意・表示・受信拒否への対応などを定めており、フォームからの送信が対象になるかは見方が分かれます。→ 第2章

な行

  • 名寄せ:表記の違う同じ会社を、1つにまとめること。会社名ではなく法人番号を目印にし、番号がないときはサイトのドメインで照らします。→ 第4章
  • 狙う顧客像(ICP):提案が最も役に立つ企業の条件で、Ideal Customer Profile の略。既存の顧客の共通点を、業種×規模×きっかけのような組み合わせで探して作ります。→ 第3章

は行

  • フォーム営業:企業のサイトの問い合わせフォームから、営業・提案の連絡を送ること(問い合わせフォーム営業)。この本では、1社ずつ理由を考えて送る提案を指します。→ 第1章
  • 文面:フォームに入れる本文。件名・冒頭の3行、なぜ御社か、価値、根拠、お願い、送信者の情報と停止の案内の6つの部品で組み立てます。→ 第5章
  • 返信数:相手の担当者が書いた返信の数。自動返信は含めず、同じ会社の複数の人からの返信は1社として数えます。→ 第9章
  • 返信率:返信数 ÷ 受付確認数。狙いと文面の良し悪しを見る数字で、送信数で割らないように注意します。→ 第9章
  • 法人番号:国税庁長官が法人などに指定する13桁の番号で、誰でも自由に使えます。1つの法人に1つで、支店や個人事業主にはなく、社名を変えたり移転したりしても変わりません。→ 第4章

ま行・や行

  • 前向きな返信数:返信のうち、話を聞きたい・資料がほしいなど前向きなものの数。返信数の内数として数えます。→ 第9章
  • 有意水準:本当は差がないのに「差がある」と判断してしまう危険を、どこまで許すかの基準。この本のA/Bテストの計算では5%とし、見つけたい差を見つけられる見込み(検出力)は80%としています。→ 第9章
  • 予約リンク:相手が空いている日時を選んで、商談を予約できる日程調整のURL。文面では、所要時間・形式・何をする場かを添えて案内します。→ 第5章・第7章・第8章

アルファベット

  • A/Bテスト:2つの案を同じ条件・同じ期間に送り、1か所だけの違いの効果を比べる方法。必要な数を先に見積もり、候補を無作為に分け、締めの日まで結果を見ません。→ 第9章
  • ABM(アカウントベースドマーケティング):狙う企業をあらかじめ決め、営業とマーケティングが協力して1社ごとに働きかける考え方。1社に何度も連絡することではなく、その会社にいちばんふさわしい入口を選ぶことです。→ 第12章
  • BANT:Budget(予算)・Authority(決める権限)・Need(必要性)・Timeframe(時期)の頭文字。商談を進めてよいかを見きわめる観点で、初回は課題(Need)を中心に聞きます。→ 第8章
  • CAN-SPAM法:米国の商業メールの法律。米国連邦取引委員会の手引きは、事業者間のメールも対象とし、停止の依頼を10営業日以内に反映するよう求めています。→ 第2章・第11章
  • CAPTCHA:コンピューターと人を見分けるためのテスト(ゆがんだ文字を読ませる、画像を選ばせるなど)。自動の送信を受け付けないという相手の意思の表れなので、人が確かめて答えるか、送りません。→ 第7章・第10章・第12章
  • CRM:Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略。顧客とのやりとりを一か所に記録してチームで共有する仕組みやソフトで、件数が少ないうちは表計算で十分です。→ 第8章・第10章
  • EDINET:金融庁の電子開示システムで、有価証券報告書などの開示書類を見られます。上場企業などの事業や計画を知るのに使えますが、機械的に取得するときは API を使う決まりです。→ 第4章
  • gBizINFO:政府が持つ法人の情報を、法人番号に結びつけて公開する経済産業省のサイト。従業員数や補助金・認定・表彰などがあり、規模の確認やきっかけ探しに使えます。→ 第3章・第4章
  • GDPR:EU の一般データ保護規則。担当者の名前やメールアドレスは個人データに当たり、ダイレクトマーケティングへの異議があれば、その目的では扱えません。→ 第2章
  • MEDDIC:Metrics・Economic Buyer・Decision Criteria・Decision Process・Identify Pain・Champion の頭文字。決め方や社内の推進役まで見る枠組みで、関わる人が多い商談に向きます。→ 第8章
  • NGリスト:送らない企業の一覧(除外リスト)。既存の顧客、競合、停止の依頼・「営業お断り」・苦情のあった会社などを会社で1つにまとめ、送る直前にも照らします。→ 第4章・第11章
  • SPF・DKIM・DMARC:送信ドメイン認証の代表的な3つの仕組み。返信や商談のお礼を送る自社のメールについて、設定を確かめておきます。→ 第7章

付録E よくある質問

フォーム営業を始める人や、続けている人から出やすい質問をまとめました。答えは短くしているので、くわしくは「→」の章を読んでください。

Q. フォーム営業は違法ではないのですか?

違法かどうかは、送り方・商材・相手などの事情で変わるため、一律には言えません。フォームからの送信が特定電子メール法や特定商取引法の対象になるかは、一次情報で明示されておらず、見方が分かれています。一方、個人情報保護法、刑法、相手の意思(「営業お断り」の表示や停止の依頼)は、送る手段に関係なく問題になります。本書は、特定電子メール法の表示と拒否への対応を守る運用をすすめますが、同意の原則との関係などは定まっていません。自社の運用に不安があるときは、第2章の相談メモを作り、専門家に確かめてください。

→ 第2章

Q. 「営業お断り」の表示がない会社なら、送ってよいのですか?

表示がないことは、送ってよいという許可ではありません。採用の応募専用・個人のお客様の窓口・ログインが必要なフォームではないか、NGリストや送信記録に入っていないかも確かめます。表示はフォームの近くだけでなく、注意事項のページや規約、会社概要にあることもあるので、サイト全体で探します。「営業目的の送信には料金を請求します」という表示も、「営業お断り」の一つとして扱い、送りません。

→ 第2章・第4章・第7章

Q. 担当者の名前を調べて、宛名に書くべきですか?

多くの場合、調べる必要はありません。会社の窓口に送るフォーム営業では、会社概要などで確かめた部署名を書けば、受信担当者は回し先を判断できます。部署名が分からなければ、「人事ご担当者様」のように仕事の内容で書きます。担当者の名前をリストに入れると、その時点から個人情報の扱いが始まることも覚えておいてください。

→ 第2章・第3章・第4章

Q. 名簿やリストを買って使ってもよいですか?

個人情報保護委員会のQ&Aは、名簿業者から名簿を買うこと自体は禁止されていないとしています。ただし、担当者名などの個人の情報を含む名簿を受け取るときは、売り手と取得の経緯を確かめて記録する義務などがかかります。不正に取得された名簿だと知りながら、または容易に知りえたのに買うと、法律に反するおそれがあります。買ったリストも、重複の除去、NGリストとの照合、「営業お断り」の確認が必要です。具体的な判断は、専門家に相談してください。

→ 第2章・第4章

Q. 個人事業主や小さな店舗にも送ってよいですか?

特定商取引法は、相手が営業のために結ぶ契約を、電子メール広告などの規定の対象から外しています。ただし、外れるかどうかは、相手が事業者かどうかではなく、契約の目的と内容で決まるとされています。家庭でも使える商材を個人事業主や小さな店舗に送る場合などは、規定がかかる可能性を考え、専門家に確かめてください。

→ 第2章

Q. 海外の企業に送ってもよいですか?

海外の企業に送るときは、相手の国のルールも関わります。たとえば EU の GDPR では、担当者の名前やメールアドレスは個人データに当たります。米国の CAN-SPAM 法は、事業者間のメールも対象としています。相手の言語で送信者の情報と停止の案内を書き、送る国の専門家に確かめてから始めてください。

→ 第2章

Q. 最初は何社くらいから始めればよいですか?

決まった数はありませんが、本書は小さく試すことをすすめています。第3章のテスト計画の記入例では、2つの案を各50社で比べています。ツールを使う予定があっても、最初の10社は手で送り、迷った項目やかかった時間を記録すると、自社の手順書と試算の前提になります。少ない数では偶然の差が大きいので、商談の数だけでなく、返信の中身や停止の依頼の有無もあわせて見てください。

→ 第3章・第7章・第9章

Q. 1日に何社まで送ってよいですか?

決まった数はなく、本書も一律の上限は示していません。1社ずつ確かめて送れる量と、返信にその日のうちに返せる量のうち、小さいほうで決めます。たとえば1社に20分かかり、送信に使える時間が1日2時間なら、120分 ÷ 20分 = 6社です(仮の数字による試算)。量を増やす前には、停止の依頼や苦情が増えていないか、受付確認率が下がっていないかを確かめてください。

→ 第7章

Q. 同じ会社に何回まで送ってよいですか?

回数と間隔の上限は、社内のルールで数字を決めます。本書は、2通目には新しい情報を1つ足し、3通目で区切りを伝え、それ以降は送らない流れをすすめています。回数は、フォーム・電話・メール・手紙など、方法をまたいで数えます。断りや停止の依頼があった会社には、期間に関係なく送りません。

→ 第6章・第11章・第12章

Q. 送る曜日や時間は、いつがよいですか?

信頼できる公開データは限られ、窓口の担当者が文面を読む時刻も会社ごとに違うため、本書は「最適な曜日・時間」を示していません。まず、相手の営業時間の中で、自社が返信にすぐ対応できる時間に送り、長い休みの前後や相手の繁忙期を避けます。そのうえで、午前と午後のような2つの枠に無作為に分けて送り、受付確認数あたりの返信率とアポ率で比べます。率の差を見分けるには多くの数が要るので、少ない数の差で決めないでください。

→ 第7章・第9章

Q. 問い合わせの種別に「営業・提案」がないときは、どうしますか?

営業の連絡のための選択肢がなければ、「その他」を選びます。「その他」もなく、選択肢がすべて別の用途のためのものなら、送りません。「見積もり依頼」「資料請求」などを選んでお客様の問い合わせに見せかけることは、相手を誤らせる行為で、会社の信頼を大きく損ないます。

→ 第7章

Q. 文字数の上限が短いフォームには、どう送りますか?

最初から、長め(700〜800字)・ふつう(400〜500字)・短文(300字以内)の3つの長さを用意しておき、上限に合うものを使います。文面を途中で切って送ると、最後の送信者の情報と停止の案内が消えてしまいます。字数が足りないときは、あいさつや会社の紹介、価値の説明を削り、名乗り・提案の理由・お願い・送信者の情報・停止の案内は残します。

→ 第5章・第6章・第7章

Q. CAPTCHA があるフォームは、どうすればよいですか?

CAPTCHA は、機械による自動の送信を受け付けないという、相手の意思の表れです。担当者が自分でページを開いて内容を確かめ、自分で答えて送るか、送らないかのどちらかにします。CAPTCHA を自動で解く仕組みやサービスは使いません。送信のツールを使う場合は、CAPTCHA のあるフォームをどう扱うかを、契約の前に確かめてください。

→ 第7章・第10章

Q. 返信率は、どのくらいが普通ですか?

公的な統計はなく、決まった「普通」の数字はありません。営業支援会社などの公開記事には、各社が公表する反応率を0.3〜7%程度とするものや、アポ率0.5〜1%程度を目安とするものがあります(第9章の参考資料)。ただし、分母に何を数えるかや、業種・商材・狙い方で大きく変わるため、自社の目標の根拠にはなりません。比べる相手は前の自社にし、受付確認数を分母にした自社の数字をためることから始めてください。

→ 第9章

Q. 返信がないのは、断られたということですか? 電話で確かめてもよいですか?

返信がないことは、断られたとは限りません。窓口から担当部署に転送され、検討中のこともあります。届いたかを確かめるためだけの電話は、相手の手を止め、しつこい印象を与えやすいので、本書はすすめていません。送信記録と数字をもとに、狙う相手・オファー・文面のどこを直すかを考えてください。

→ 第1章・第9章・第12章

Q. AIで文面を作ってもよいですか?

下調べの要約や文面の下書きに使うことはできますが、もっともらしい誤りを書くことがあるので、事実は人が相手の公式の情報で確かめます。下書きに入りがちな決めつけ・ほめすぎ・誇張も、人が直します。個人情報や社外秘の情報はそのまま入れず、個人情報を入れるなら、利用目的の範囲内か、入力が学習に使われないかを先に確かめます。送るかどうかは人が決め、人が承認した文面だけを送ります。

→ 第5章・第10章

Q. 外注と内製は、どちらがよいですか?

どちらがよいかは、自社の人手と目的によって変わります。比べるときは、外に払う費用に社内の作業時間の費用を足した総額を、実際に行った商談の数で割り、商談1件あたりの費用にそろえます。そのうえで、文面を直す速さや、返信の全文を読めるか、やり方が社内に残るかといった、お金に表れない違いもあわせて判断します。外注しても相手に届くのは自社の名前なので、「成果」の数え方と送り方のルールを契約の前に確かめてください。

→ 第10章

Q. 停止の依頼は、何日以内に反映すればよいですか?

特定電子メール法や特定商取引法は、拒否を受けたあとの送信を禁じていますが、何日以内に反映するかという日数は定めていません。フォームに当てはまるかどうかにかかわらず、基準は「次の送信より前に、確実に反映する」ことです。第11章の記入例では、受けた当日中(遅くとも翌営業日)にNGリストへ登録し、予約済みの送信や外注先の分も同時に止めています。範囲は、部署や商材を問わず、会社全体として扱います。

→ 第2章・第11章

Q. 苦情が来たら、まず何をすればよいですか?

反論せずに内容を記録し、運用の責任者に回します。調べる前に、まずその会社をNGリストに登録して送信を止めます。一次の返事は受けた日のうちに送るのを目安にし、言い訳をせずにおわびし、今後は営業の連絡をしないことと、いつまでに報告するかを伝えます。おわびするのは確かめた事実と相手にかけた迷惑で、「法律に違反していました」といった法的な評価や、賠償の約束は書きません。法的な措置や請求の言葉があるときは、責任者に即日報告し、必要に応じて弁護士に相談します。

→ 第8章・第11章

付録F 主な参考資料

本の全体で、とくに大切な公的資料と一次情報を選びました。どれも、各章を書くときに内容を確かめた資料です。

  • 年は、各章に記した公開・更新・閲覧の時点です。
  • 「→」の後ろは、その資料を使った主な章です。
  • 法令やガイドラインは改正されることがあります。使う前に、最新の版を確かめてください。

法令

ガイドライン・官公庁の資料

公的なデータベース

統計・調査

各章の「この章の参考資料」もあわせてご覧ください。

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